人気コラム一覧

破産手続における自由財産の拡張①-意義・基準・手続

弁護士の櫻田です。 自己破産をすると,所有している多くの財産は処分・換価されて,債権者に配当されることになります。 ただし,すべての財産が処分・換価されるわけではなく,一定の基準の下,自己破産をしても手元に残せる財産があります。これを「自由財産」といいます。 自由財産としては,破産法で,99万円までの現金及び差押禁止財産(日常の家財道具など)が規定されていますが,これら以外にも,例外的に,自由財産として拡張が認められることがあります。 そこで,今回は,自由財産の拡張について,その意義,拡張の基準,手続などについて説明します。 自由...

破産管財人はどのようなことをするのでしょうか?-破産管財人の選任・役割・権限など

弁護士の櫻田です。 自己破産の申立てをして管財事件型となる場合,裁判所から破産管財人が選任され,破産管財人が破産者の財産の管理や処分を行うことになります。 破産管財人が選任される場合とは, ・一定額(概ね20万円)を超える財産がある場合 ・浪費やギャンブルなど免責不許可事由があることが疑われる場合 ・法人及びその代表者の場合 ・個人事業主の場合 ・資産調査が必要な場合(申立前の調査が不十分な場合) などです。 管財事件型が自己破産の原則的な手続となりますが,統計上,全体の自己破産のうち,管財事件型となるのは4割程度(東京地方裁判所の管轄...

自己破産をしても免責されない債権がある!-非免責債権の種類・具体例

弁護士の櫻田です。 実は,自己破産をして免責が許可されても,すべての債務の支払義務がなくなるわけではありません。 政策的な理由から,税金など一部の債権については,免責の効果が及ばないとされているのです(税金は有名だと思いますが,他にも免責されない債権はありますので,注意が必要です)。 このように,自己破産をして免責を受けることができても,その免責の効果が及ばず,支払義務が残る債権のことを「非免責債権」といいます。 今回は,この非免責債権の種類と内容について取り上げたいと思います。 非免責債権は,破産法253条1項に列挙されていますので...

自己破産をしても処分されない財産②-東京地方裁判所の処分・換価基準

弁護士の櫻田です。 前回の記事では,自己破産をしても処分されない財産として自由財産,具体的には,99万円以下の現金と差押禁止財産についてご説明しました。 では,上記以外の財産については,自己破産をすると例外なく処分・換価の対象となって残すことはできないかというと,そうではありません。 99万円以下の現金と差押禁止財産のほかにも残すことができる財産があります。 この点,東京地方裁判所においては,個人の破産事件について,処分・換価を要する財産と要しない財産の基準を設けています。 そこで,今回は,東京地方裁判所における個人の破産事件の処分・...

破産手続における自由財産の拡張②-判断要素・問題となる場面

弁護士の櫻田です。 前回に引き続き,自由財産の拡張に関する記事です。 今回は,自由財産の拡張の可否を判断するにあたって考慮される事情や,問題となる場面についてご説明します。 自由財産の拡張の判断要素 自由財産の拡張の可否は,次のような事情を総合的に考慮した上で判断されることになります。 破産者の生活の状況 破産者の年齢,職業,世帯構成,本人や家族の病気等の有無・程度などが判断要素となります。 例えば,破産者が高齢で就業の見込みがないこと,破産者やその家族が病気で障害を抱えていること等の事情があれば,拡張が認められやすい方向に...

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