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どの弁護士に債務整理の相談や依頼をすればいいのですか?-債務整理に関する弁護士の選び方


弁護士の櫻田です。

このように思う方は多いのではないでしょうか?

借金問題で行き詰ってしまったけど,家族や知人には知られたくない。
弁護士に相談してみようか?
だけど,弁護士の知り合いもいないし,どの弁護士に,どのように相談したいいのだろうか?

一般の方が自分に合った最適な弁護士を選ぶことは,実は,かなり難しいことだと思います。

私も弁護士ですので,弁護士の選び方を講釈するのはおこがましいことかもしれません。

しかし,今回はあえて,弁護士の視点(あくまで私の私見ですが)から,どのような点に注意をして弁護士を選んだらいいのか,そのポイントをまとめてみようと思います。

債務整理の実績や経験が豊富なこと


まず,重要なポイントは,債務整理に関する実績や経験が豊富な弁護士を選んだ方がいいでしょう。

多くの弁護士が債務整理に関する問題を取り扱っています。

しかし,債務整理の問題は細かなルールが定められています。それに違反すると,解決できたはずの問題が解決できなくなったり,不測の不利益を被ったりすることがあります。

また,特に,個人再生や任意整理の案件では,相手方である債権者の対応を熟知している必要があります。こうした情報を踏まえずに処理をすると,予定した返済計画が認めてもらえないことがあります。

ですので,こうした点を踏まえて,債務整理に関するルールや債権者の対応を熟知した,実績や経験が豊富な弁護士に依頼をすべきでしょう。

ただ,豊富な実績や経験が,必ずしも単純な相談件数・受任件数と直結するわけではないと思います。

昨今,ホームページやテレビCMなどで,膨大な数の相談件数・受任件数を掲げている弁護士も見受けられるところです。

しかし,相談件数・受任件数が多ければ多いほど,弁護士が個別の案件に割くことができる時間や労力は少なくなります。そうなると,個々の案件への対応が疎かになるおそれがあります。

なので,単純な相談件数や受任件数はあくまで参考程度に考えた方がいいでしょう。

親身になって話を聴くこと


弁護士の仕事は依頼者の方から話を聴くことから始まります

依頼者の方の話から,どのような解決を希望しているのか,そのための手段はどのようなものがあるのか,その希望が実現する可能性はあるのかなど,検討することになります。

依頼者の方に寄り添って,その話を聴かなければ,問題解決を図ることなどできません。

ですので,まずは,その弁護士が親身になって話を聴くかどうかを見極めた方がいいでしょう。

説明が具体的で分かりやすいこと


一般の方からすると,法律の専門用語は,なじみが薄く,分かりにくいものです。

弁護士から,一方的に,「偏頗弁済」「免責不許可事由」「清算価値」などといった専門用語を並べられても,きちんと理解することは難しいでしょう。

依頼者の方からすれば,何か難しいことを説明されたけれど,結局何をしたらいいのか分からないというのでは,その弁護士に依頼をした意味がないでしょう。

平易で分かりやすい言葉で,「まずは,●●をすべきです」「●●は絶対にしてはいけません」「●●までに●●をしてください」といった具体的な説明や指示をする弁護士を選んだ方がいいでしょう。

また,口頭だけで(早口で言われた場合は特に)説明されて,その場では理解しても,後で忘れてしまったりすることはよくあるので,重要なことは書面等を併用して説明してもらった方がいいでしょう。

不利なことも含めて解決の見込みを示すこと


弁護士は,その職務倫理上,受任する事件について有利な結果となることを請け負ったり保証したりすることはできません

もしかしたら,相談をした弁護士に,「絶対に免責が許可されますよ」「思い通りの結果を約束しますよ」と言われることがあるかもしれません。

しかし,私は,そのような弁護士は信頼できないと思います。

自己破産や個人再生は,裁判所に申立てが必要な法的手続で,許可や認可は裁判官がするものです。また,任意整理は,和解をするには債権者の合意が必要で,債務者側の要望が一方的に通るものではありません。
債務者の代理人に過ぎない弁護士には,債務整理の解決について最終的に決定できる立場にはないのです。

債務整理に限ったことではありませんが,弁護士であれば,依頼者に対し,不利なことも含めて,解決の見込み,処理の方法,解決までに要する時間などを説明しなければなりません
もし依頼者の方の話から,弁護士が受任しても解決が見込めないようであれば,安請け合いはせず,きっぱりと依頼を断るでしょう。

言い方が悪いかもしれませんが,受任をしたがために,調子のいい適当なことを言って依頼を受け,その後の事件処理を放置するという弁護士も中にはいるかもしれません。
始めから何の根拠もなく甘いことばかり言う弁護士には注意をすべきです。

誠意ある対応をすること


賛否はあるかもしれませんが,私は,弁護士の仕事は「法的サービス業」だと思います。

サービス業であるからといって,依頼者の方にこびへつらうというものではありません。

依頼者の方とは,親族でも友人でもなく,法律の専門家の立場から,問題解決のためにタッグを組むパートナーの関係であると思います。

パートナーの関係である以上,上から目線でものを言ったり,尊大な態度をとったりすることはあってはならず,常に,誠意ある対応をしなければならないと思います。

誠意ある対応とは抽象的ですが,具体的には,概ね次の点がポイントになると思います。

社会人としての常識があること

弁護士にも社会人として常識が求められることに異論はありません。

例えば,服装,態度,言葉遣いは,その人の人格を現すものです。

清潔な服装,丁寧な態度・言葉遣いをする弁護士の方がいいでしょう。

質問に的確に回答すること

依頼を受けている以上,案件に関連する質問には的確に回答する義務があります。

そもそも,質問に回答してくれないのでは,依頼をした意味がありません。

当然のことながら,質問に的確に回答する弁護士を選ぶべきです。

時間に正確であること

弁護士は多忙とはいえ,時間にルーズな弁護士は信用すべきではありません。

時間にルーズなことは,仕事にルーズなことにつながります。
特に,正当な理由がないのに,裁判の期日に遅れる,欠席するなどはあってはならないことです。

時間を守る弁護士を選ぶべきです。

スピーディーな対応をすること

フットワークが軽く,スピード感をもって,質問に対する回答や案件処理をする弁護士の方が安心できるでしょう。

ただ,拙速な弁護士も良くありません。
弁護士であっても,即答できず,検討のための時間を要する問題は多くあります。その場合は,十分な調査・検討をした上での対応となります。速いけれど,いい加減な対応をされては本末転倒です。

事前に弁護士費用を明示すること


弁護士に依頼する際,弁護士費用がいくらかかるのかは,気になるところでしょう。

受任時に弁護士費用を曖昧にしておくと,終了時に予想外に高い弁護士費用を請求されることもあるかもしれません。

しかし,弁護士は,依頼を受ける際に,事件処理にかかる弁護士費用を説明する義務があります。したがって,依頼前に弁護士費用を明示することは必須です

ただ,案件によっては,受任の段階で,事件処理の見通しがはっきりしないため,弁護士費用の明示ができず,概算の見積りになるかもしれません。
それは仕方がないことですが,概算の見積りであっても,「こういう場合にはいくらかかります」など具体的な例を挙げると丁寧です。
概算の見積りすら提示しない弁護士は論外でしょう。

最終的には相性が合うこと


依頼者と弁護士の関係は,詰まるところ,人と人との付き合いです。
最終的には,お互いの相性で判断すべきだと思います。

上でも述べましたが,依頼者の方と弁護士は,問題解決に向けたパートナーの関係にあります。相性が合うことが重要です

相性というと感覚的ですが,その弁護士の話し方,態度,見た目,振る舞いなどすべてをみて,自分の問題を任せることができるか,この弁護士が信頼できるかを判断することになろうと思います。
こういった感覚的なところから,心が通じて,結果,その弁護士の能力や仕事振りが見えてくることもあります。


今回は,弁護士の選び方について私見を述べさせていただきました。
弁護士を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
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