- 弁護士法人さくらさく法律事務所
- >
- 債務整理に関する記事(コラム)
- >
- 債務整理に関する記事詳細
債務整理に関する記事詳細
闇金(ヤミ金)からお金を借りてしまったらどうすればいい?-闇金問題は弁護士に相談しよう!
弁護士の櫻田です。
闇金からいったんお金を借りてしまうと,先が見えない泥沼に陥ってしまいます。
勤務先や自宅にまで厳しい督促が止まらない,借りた金額以上に返済しているのにまだ返済の請求をされるなど,自分ではどうしようもできなくなってします。
また,厳しい請求や取立てに疲弊して,精神的にも相当な苦痛を受けてしまいます。
そこで,今回は,闇金から借金をした場合に発生する事態やその解決方法について説明します。
結論としては,闇金問題はまず弁護士に相談をすべきです。
弁護士に相談・依頼して,取立てや返済をストップしましょう。
目次
闇金被害の実態
まず,闇金に関する相談を受けた中から,闇金被害の実例を紹介します。
生活費が足りなくて,闇金を利用してしまいました。
最初に3万円の融資を依頼したら,利息を差し引いた1万5000円が振り込まれました。10日後には4万5000円を返済しなければなりません。
お金がないのに,借りた金額以上の返済を要求され,どうしていいのか分かりません。
5万円を借りた後に闇金だと分かったので,キャンセルをしたいと申し出ました。
そしたら,「もう既に5万円を振り込んだので,キャンセルはできない。利息として,5万円を3回支払え。どうしてもキャンセルしたいなら,キャンセル料としてもう10万円支払え。無理なら,勤務先や親に電話をして支払ってもらうことになる」と脅されました。
支払うこともできず,誰に相談していいのかも分からず,困っています。
闇金から,「息子が借りた20万円を返せ。返さないと,会社にも電話をすることになる」という電話での督促がありました。
息子とは連絡が取れず,詳細は不明ですが,会社に迷惑はかけられないので,仕方なく20万円を指定の口座に振り込みました。
しかし,その後も利息の支払いが終わっていないとのことで,さらに20万円を請求されています。どうすればいいでしょうか?
闇金からお金を借りてしまいまいたが,返済ができずにいます。
職場に頻繁に電話での督促があるほか,先日は,自宅にも取立てに来ました。警察に相談しましたが,民事不介入と言われて,何の対応もしてくれません。
借りた自分が悪いのですが,職場や家族には打ち明けられず,自分が借りたものではないと取り繕っています。
このような状況ももう限界です。仕事や家族を失いたくはありません。
お金に困窮して,闇金から10万円を借りてしまいました。
既に,3万円を4回返済したのですが,さらに3万円を請求されています。
もう支払えないと答えると,「スマートフォンを3台契約して,指定の場所に送付しろ」「契約の際に,携帯会社のクレジットカードを作成しろ」といわれました。
さすがにおかしいと思って実行はしていないのですが,1時間ごとに督促の電話やショートメールが届いて,どう対応していいか分かりません。
闇金から借りたお金は返済する必要はない!
上記の闇金被害の実例で紹介したとおり,闇金の対応は違法かつ理不尽なものです。
一度関係を持ってしまうと,借りた本人のみならず,その勤務先や家族など関係する人を巻き込んで,少しでもお金を回収しようとしてきます。
ところで,「借りたお金は返せ」という闇金の言い分がありますが,これは正しいのでしょうか?
闇金から借りたお金を返済する義務があるのでしょうか?
結論からいうと,法律上は,元本を含めて闇金から借りたお金を返済する必要はありません。
なぜなら,闇金は,出資法が規制する利率を超える利息の支払いなどを求める犯罪行為です。
また,闇金は,融資の際に勤務先や家族などの情報を聞き出し,返済が滞った場合などに嫌がらせをして払わせようとすることが多くありますが,早朝・深夜の取立行為,支払義務のない者への請求は貸金業法に禁止され,罰則もある許されない行為です。
さらに,闇金による融資は,違法な暴利を要求するきっかけを作るものにすぎないといえるので,「不法の原因で給付を行った者は給付した物の返還請求ができない」とする不法原因給付(民法708条)に基づき,法律上返還義務がないと解されるのです。
このように,闇金からお金を借りてしまった場合,その貸付行為それ自体が法律上無効になるので,借り入れたお金そのもの(元本)も含めて一切返済する必要はないと解釈されています。
闇金問題は弁護士に解決を依頼しましょう!
闇金からの借金について法律上は返済義務がないとしても,それだけで,現実に,闇金からの厳しい取立てが止まるわけではありません。
現実に,厳しい取立てを受けている場合は,具体的な対策をする必要があります。
警察に通報する!
まず,闇金から既に脅迫・恐喝的な取立てを受けている場合には,警察に通報することが考えられます。しかし,すべてのケースで警察への通報が有効であるとは限りません。
そもそも,警察は証拠がないと動いてくれないことが多いです。動いてくれるとしても,どこまで効果的な対応をしてくれるかは,警察(担当の警察官)次第となってしまいます。
また,警察に動いてもらうためには,証拠取集のほか,被害届の提出や告訴・告発などの手続を経る必要があります。
闇金は犯罪行為なので,警察の協力を得ることは有効なのですが,そのためには,まず,次に述べるように,弁護士に相談することが効果的であるといえます。
弁護士に相談・依頼して取立て・返済をストップ!
上記のように,警察に協力を得るための手続をする際,弁護士の力を借りられることは大きなメリットです。このほかにも,弁護士に相談・依頼をすることで,次のような効果が期待できます。
まずは取立てや嫌がらせをストップさせる!
闇金からお金を借りてしまった方が一番強く望むことは,闇金からの取立てや嫌がらせをストップさせることだと思います。原則として,弁護士は,依頼を受けると直ちに,弁護士が代理したことを知らせる受任通知を送付します。この受任通知において,取立てや嫌がらせをやめること,既に支払った金額を返還することなどを求めます。
弁護士介入後に本人へ取立行為を行うことは,それだけで貸金業法違反となります。
しかし,携帯電話だけで営業をしているような闇金に対しては,文書で受任通知を送ることができません。
そこで,闇金に対しては,本人の電話を借りるなどして,弁護士が直接電話をします。そして,弁護士が介入したことを伝え,取立行為をやめるように要求していきます。
弁護士が直接電話をすると,それだけで多くの闇金は取立行為をやめます。
弁護士からの電話だけで取立行為をやめない場合は,複数回電話での警告を続けるほか,警察への情報提供や告訴・告発,口座凍結などの手続を進める中で,取立行為をあきらめさせることになります。
そして闇金に一切返済をしない!
そして,弁護士が受任した後は,家族などの関係者を含めて,闇金には一切返済をしないことを徹底していただきます。闇金に取立行為をあきらめさせるためには,もうこの件では資金回収はできないと理解させる必要があるからです。
本人だけで対応すると,闇金の言葉巧みに返済をしてしまうことが多いのですが,弁護士が介入することによって,闇金には一切返済しないという毅然とした対応を取ることが可能になるのです。
以上,闇金からお金を借りてしまった場合の対応についての解説でした。
繰り返しになりますが,闇金からお金を借りてしまったら,まずは弁護士に相談することが効果です。
なお,法律上は,闇金に支払ったお金は返還を受ける権利がありますが,所在が不明な闇金組織から回収することは困難なことが多いです。
それよりもまずは,闇金からの取立行為や嫌がらせをやめさせ,これ以上返済しないことが重要になると考えます。